2010年01月11日

娯楽としての切り株掘り

この夏やったこと

この夏やったことのひとつは、息子の鈴吾郎(りんごろう、七才)と一緒に庭の大きな切り株を掘りおこしたことです。(いや、まだ夏は終わってないし、掘り起こさないといけない切り株もまだひとつ残っているので、現在進行形で「やっていること」と言った方がいいでしょう。)

IMG_0225.jpg

 本当は切り株なんてほっとけばいいんです。朽ち果てるまで。でも、どうして掘り起こすなんて、アホくさいことをしているかと言うと、美術家の妻、チャコの一言。
 「私がアートスタジオに使っている車庫が物で狭くなってきたから、庭仕事の道具を他の場所にしまってちょうだい。どこかに物置を作ったら?」
 そこで、庭のすみの使われなくなったニワトリ小屋を解体し、そこに物置を置くことにしました。この古いニワトリ小屋は、どれほど注意しても、腹ぺこキツネが侵入してニワトリを食べてしまう代物だったのです。ニワトリ小屋は、いつか建て直すことにしました。

切り株、抜くしかないねえ、パパ

 で、早速ニワトリ小屋を撤去。ところが、ニワトリが跳ね回っていた小屋の前には、古くて大きな切り株が二つ。これがあっては物置が置けません。腕組みをして考えこむ父親を見て鈴吾郎、「切り株、抜くしかないねえ、パパ」と、涼しい顔で言い放ちました。

IMG_0223.jpg

 ようし、父親の底力を見せる好機到来、「ええい、抜いたろうやないけえ」と、僕は威勢良く言い放ちました。ところが、それが大事業。

一日目と二日目

 まず、第一の切り株は、直径50センチ、高さ1メートルの逸物。これを根元のところでちょん切りました。チェーンソーの刃が鈍っていたので時間がかかりました。それに15分もチェーンソーで作業すると、エンジン音で耳が痛くなり、振動で腕もぶるぶるです。結局、二日に分けてやりました。  
 でも、こんなの軽い、軽い。

娯楽としての切り株掘り

 いよいよ根元の掘り起こし。これも一度にはできません。以前に近所のバーベキュー仲間のイアンがこう言ってました。「穴掘りは、いちどきにやると、腰を痛めるだけで元も子もなし。やるなら朝飯前に5分、仕事から帰ってビールを飲む前の10分。ゆっくりペースなら、大変なはずの穴掘りも、優雅な楽しい娯楽ってことよ。」
 イアンの言葉を銘に、切り株掘りを娯楽として楽しむつもりで取りかかりました。

 三日目。

シャベル、鉄のバー(重さ10キロもある金棒)、小さなシャベルなどで根元の輪郭を掘りました。敵は、かなり手強そうです。

 四日目。

さらに根の周りを掘り、四方に伸びる大きな根を全てあらわに。ここまではイアンの言葉通り、汗をかきかき、楽しい作業。鈴吾郎も喜々と、堀った泥をどけたり、手伝ってくれたり。

 五日目

切り株掘りは膠着状態に。しっかりと粘土層の地面にしがみついた切り株は、全く動こうとはしません。あたかも「経験浅き日本人ごときに、そうやすやすと抜かれてたまるかあ。ウワッハッハ!」と、あざ笑っているようです。
 そう言えば、昨年10月、親知らずを一度に四本抜く手術をしました。歯医者は、「全身麻酔をすれば簡単。すぐ終わりますよ」と言いました。僕は、全身麻酔にはひるみましたが、案の定すやすや眠っている間、ものの30分で終わりました。
 ああ、切り株に全身麻酔をして抜ければ!

 六日目

さらに深く掘り起こし、チェーンソーを根元に差し込み、四方に伸びた大きな根を切断。

IMG_0231.jpg

それから根元に金棒を突っ込んで動かすと、ぐらぐらっと動きました!
「やったー!」と、思わず絶叫。それからおよそ30分、あっちにぐらぐら、こっちにぐらぐら、その度に残った細い根をシャベルや金棒でぶった切り、そのうち、さすがの切り株も観念したようでした。まさに、抜ける寸前の歯のような状態、ほんのわずか地面に繋がっているだけ。

IMG_0266.jpg

怪力、鈴吾郎

 「ようし、引っこ抜くぞ! よいしょ、よいしょ!」と押しますが、重い切り株はなかなか穴から出てくれません。汗だくで切り株を押したり引いたりする僕を見て、鈴吾郎がすっとんできます。そして、いきなり「うりゃあ!こんにゃろう!」と叫びながら加勢。父子で押すこと15分、切り株は、ついに地面にごろんと転がり出たのでした。
 おじいさんが大きなカブを引き抜くロシア民話、『おおきなかぶ』(内田りさ子訳、佐藤忠良画、福音館書店)という絵本が僕は大好きですが、まさにあの世界でした。それに、たった七才にせよ、息子の鈴吾郎がこんな力持ちと知って驚きでした。抜いた切り株は重さ100キロほどもあるのではないでしょうか。抜いたは良いものの、動かせずにそのまま転がしてあります。

IMG_0254.jpg

終わらない夏

 さあ、これに気を良くした男組ふたり、二つ目の切り株に取りかかりました。ところが、こっちの切り株、先の切り株より露出部分は小さかったのですが、掘り起こしてみると根っこは巨大、まさに「親知らず」の風格。抜いた跡は、小さなプールが出来そうなくらいです。これには、一週間ほど取り組みましたが、未だに微動だにせず。チェーンソーの刃はぼろぼろ。僕もぼろぼろ。
 これ以上やると背骨を痛めるので、根っこ抜きの業者を呼ぼうかなと思っています。(そんな商売がオーストラリアにはあるんです。)
 そんなで、まだ物置は建っていません。

(以下は別の切り株です、もちろん。)
IMG_3504.jpg
posted by てったくん at 05:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 切り株掘り