2018年03月14日

メルボルンでも、秋は食べ物が美味しい季節

2018年3月14日

メルボルンの夏が去って、秋がきた。秋は食べ物が美味しい季節であるのは、日本でもオーストラリアでも変わらない。日本の食材の豊富さには負けるかもしれないが、オーストラリアでも、旬の魚や野菜が見事に色づく季節だ。

メルボルンから100キロ南へ行くと、ジーロンという街があって、そこに日本人の友人のK松さん一家が住んでいる。そっちの方で、ここのところイカが釣れているというので行ってきた。僕は、イカは釣ったことがなかったから、ぜひこの機会に釣ってみようと目論んだ。K松さんは、海の近くにずっと住んでいる年季の入った太公望だから、一緒に行けば必ず釣れる。

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僕が初めて釣ったアオリイカ

釣りの前夜はK松さんのうちに泊まった。夕食をいただきながら、おでんの話になった。K松さんの奥さんは大阪の人で、僕のような関東の人間とはおでんの作り方が違うのだと言う。大阪と東京のおでんの違いをここで説明するまでもないが、大阪では「おでん」と言わないで、「関東煮(だき)」と呼んだりする。それは薄いコーヒーを「アメリカン」と呼んだり、ジャガイモのフライを「フレンチフライ」と呼んだりするのと似ている。東京と大阪のおでんの一番の違いは味付けで、関東煮の方は、関西だから汁はあっさりと薄味だ。東京のおでんの汁は、濃い味で醤油っぽい色をしている。具も、大阪の方はクジラ肉のスジやサエズリと言った部位なんかが入っているが、東京の方にはそういうものは入っていない。反対に、東京のおでんには、はんぺんや竹輪麩(ちくわぶ)が入っていることが多いが、大阪では、それらは入れないらしい。

そんな話をしていたら、K松さんの中学一年のオーストラリア生まれのお嬢さんが「クジラを食べるのはいけない!」と強い口調で言った。オーストラリアは、捕鯨に反対しているから、日系人であっても、オーストラリア育ちの人間は、大概は反捕鯨の立場をとる。うちの子どもたちもそうだ。

僕の父は静岡の出身であったが、静岡にもおでんがあって、汁は東京と同じで濃いめだが、牛すじが入っているのは大阪っぽい。加えて、静岡特産の黒はんぺんが入っているのも特徴だし、おでんに、鰹節の粉やら青のりをまぶして食べるのも静岡風だ。静岡のおでんも、なかなか美味しい。

そんなで、メルボルンに住んでいる日系人も、出身によってそれぞれ異なったおでんを家庭で食べていることが予想される。昨冬のある夕も、近所の日系人家族とおでんを持ち寄って食べたことがあったっけ。そのH園さんという家族も関西の人だったから、我が家のおでんに比べると、薄味のさっぱりとした関東煮を持ってきてくれた。我が家の子どもたちは、そういうおでんを食べたことがなかったから、やや驚いたような顔をして食べていた。H園家の子どもたちも、我が家のおでんをみて、きっとびっくりしたことだろう。

その我が家のおでんだが、全くの東京風で、濃い味つけだ。メルボルンにおいても、ゴボウ天やハンペンも日系のスーパーに行けばあるが、高いし、そういう店は我が家からは遠いので、まずは入れない。ケチで、面倒臭がりの僕は、そこらにあるもので間に合わせる。我が家のおでんに入っているものは、以下のようなものである。

卵、ジャガイモ、大根、人参、豆腐(焼き豆腐ではなくて普通の豆腐)、油揚げ、こんにゃく、鶏肉や牛スジ肉、練り物(ベトナム料理に使う魚ボールなどで、大概は一種類しか入れない)、タコかイカ、だし昆布。(よっぽど入れるものが足りないときは、ソーセージなんかを入れることもある。)

そんなおでんでも、僕はとても楽しみだ。おでんの日は、かなり早めに、午後の3時か、遅くとも4時には夕食の準備に取りかかり、1時間以上は、おでんを弱火で煮込んでおく。

K松さんのところのイカ釣りの話に戻るが、案の定、立派なアオリイカが釣れた。朝早起きして行ったら、イカさんたちが、僕が来るのを待ち受けてくれていた。竿を入れたら、すぐに「ズン!」と当たりがあって、ビュービュー墨を吐きながら、立派なイカが上がってきた。普通の魚はバタバタ暴れるだけだが、イカは、足をグニャグニャさせながら墨を吐き、さらに釣り上げた時は体が透明なのに、すぐに白くなる。釣っていると、そう言う変化が面白い。普通の魚を釣るのとイカを釣るのと、どちらが面白いかと聞かれたら、答えに困るが、イカ釣りに夢中になる人が多いのも分かる気がする。

というわけで、K松さんの家でおでんの話が出たし、イカも釣れたから、今夜はおでんだ。上記の材料は、だいたい冷蔵庫に揃っている。しかし、釣れたてのイカは、おでんに入れてしまうのはもったいないので、刺身で食べる。そのかわり、タコを入れようと、近所のショッピングセンターの魚屋をのぞいてみたが、あいにくタコは品切れだった。そういうところが、メルボルンの不便なところで、なんでも売っているようで、買いに行くと、売ってないことも多い。

僕が、オーストラリアで食べているおでんは、そんな感じのものだが、それでも我が家の子どもたちは、喜んで食べている。特に、鍋物が好きな娘は、おでんが好きだ。その彼女は、ちゃんと辛い練り辛子をつけておでんを食べる。メルボルン育ちのくせに、そんなことまで、親がしていることを見て覚えるのだから、感心してしまう。

そうだ、練り辛子がないから、買いに行ってこよう。


posted by てったくん at 18:55| 日記