2016年04月18日

自転車でどこへ行こうか?


2016年4月18日

僕の古い自転車ブリジストン・ダイヤモンド号を直したから、そのことをFacebookに載せた。そうしたら、中学校時代の旧友F君が、ずっと所蔵していた、これも同じくブリジストン・ダイヤモンド号を昨年レストアしたと言って写真をアップして見せてくれた。F君のダイヤモンド号もピカピカだったが、似た様なことを考えるもんだと、全く驚いた。この間書いた、輪友トノムラ君もコメントをくれたが、彼のダイヤモンド号はずっと昔にお釈迦になったそうだ。当然だよな、40年も前の自転車だもの。でも、そのうちまた一緒にサイクリングしようということになったので、Facebookも効用があるのだと嬉しくなった。

サイクリングロード.jpg
サイクリングロードにて

さて、直した自転車でどこへ行こうかと考えつつ、同時に、この間から自転車に関する本をいろいろと読んでいる。今読んでいるのは、米国のDon Pettersonの書いたThe Old Man on Bicycleという本だ。彼は、元外交官なのだが、定年退職後の72歳のとき、突然思い立って、北米大陸の東海岸ニューハンプシャーから西海岸サンフランシスコまで、二ヶ月かけて自転車で横断した。本書では淡々とした調子でその旅の様子を書いているが、同時に老人の健康、老後の生き方についても意見を書いている。 著者は「私にとって老人とは、常に私より15歳年上の人間のことである」と、誰かの言葉を引用して書いていたが、僕も70歳になったら、そう思いたい。こういうことも書いているが、むしろ、老いとは無理に闘うのではなく、上手に折り合いをつければ、アメリカ大陸横断だって決して無理でないことをこの本は教えてくれる。

他にも引っ張り出して読んだのは、伊藤礼著『こぐこぐ自転車』、『自転車ぎこぎこ』、『大東京ぐるぐる自転車』の三冊である。この著者も老人である。伊藤翁は、大学を退職する二年前、やはり突然目覚めて自転車に乗り始め、八十何歳の今も、杉並の自宅から、どこへでも自転車で出かけてしまうというお達者振りである。翁曰く、「自転車なら必ず席に座れるし、必ず時間通りに目的地に到着する。」 僕は、この伊藤先生に大学時代に英語や英文学を教わったのだが、いつも30分くらい授業に遅れてやってきて、出席を長い時間かけてとり、やっと教科書を2ページくらい訳すと、またもや30分くらい早く授業を切り上げるのであった。授業にはあまり熱心ではなかったが、話がとても面白くて、授業の外でも個人的にお世話になったので、「学費泥棒!」とはちっとも思わなかった。

そのころから伊藤礼先生は、エッセイストとして有名で、特に『狸ビール』という訳の分からない本を書いて、世間を騒がせていた。だから、 僕は卒業後もずっと伊藤先生の著作に注目し、ご著書は全部読んでいる。伊藤先生は、お父さまである作家、伊藤整の評伝等が「真面目」な著作だが、上記3冊の自転車エッセイは抱腹絶倒で、自転車に縁のない人もぜひ読むことをお勧めする。『耕せど、耕せど。久我山農場物語』という園芸に関するエッセイも書いておられ、この本でも老境ということについて大いに学ばされる。特に、溲瓶(しびん)の使い方の説明などは、俗人の到達できる領域を越えた記述である。

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パタソンリバー河口にて

そういう本も読みながら、自転車でどこへ行くか考える為に、 僕はベルグレーブの本屋で、メルボルンとビクトリア州自転車地図を買ってきた。当地はかなりの自転車ブームで、メルボルン市内にはかなりの距離の自転車専用道路が整備されつつある。田舎では、元もと鉄道線路だった土地を自転車や乗馬専用に整備している道も大分伸びてきている。

しかし、じゃあ、どこへでもこうした道で行けるかと言うと、そうはいかない。まだまだ自転車は、車道の脇を走らなくてはならないことが多く、ここオーストラリアは自動車の走行速度は普通道路でも70キロ以上だから、路側帯を自転車で走るのは命がけである。僕が住んでいるダンデノン山はけっこう勾配がきつく、路側帯もろくにもなくて、車道を行くのはなかなか手強い。

だから多くの人は、自動車に自転車を積んでどこかまで行き、そこから走り始める。でも、こう言っては何だがキセル乗車をしているようで中途半端だ。しかし、そういうことを言っていたらどこも行くところがないし、結局アームチェア・サイクリストで終わって、地図を眺めて嘆息しているだけで終わってしまう。

田舎道.jpg
ダンデノンクリーク沿いの道

そこである秋晴れの日、僕も車にダイヤモンド号を積み込み、エンデバーヒルズという隣町まで15分程ドライブした。そこからは、自転車道を、パタソン・レイクという海岸の街まで一走りしてきた。ダンデノン・クリークという小川沿いの気持のよい平らな道で、海に近づくと川は太くなり、最後はポートフィリップ湾に注いでいる。その河口まで行ってきた。義弟に前にもらったサイクル速度計もつけてたので、距離や平均時速も分かった。この日走った距離は片道19.5キロ、往復39キロ。平均時速17キロ、走行時間は3時間半くらいであった。

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速度計は見ていて楽しい

結果から言うと、走ると不愉快になるような幹線道路は走らないで済むので、とても楽だった。難を言うならば、自転車道路というのは走るのが楽すぎるのと、裏道や田舎道を走っている時のような思わぬ発見や意外な景色や光景もなく、やや退屈という面がある。長く苦しい峠道を踏破し、今度は長い下りで快哉を叫ぶクライマックスもない。安全な道はあくまで淡々と続き、過保護なサイクリングと言っても良い。でも、こんな不平を言うのは、贅沢かもしれないから、 今後も、この自転車地図を参考に、あちこち走ってみようと思っている。

イスラム寺院.jpg
ダンデノン市のイスラム寺院

そう言えば、フォーク歌手、高田渡の曲にも『自転車にのって』という曲があった。「自転車に乗って、ちょいとそこまで歩きたいから」というフレーズは言い得て妙だ。自転車の良さは、そいうった手軽さにあるんだと思う。

晴朗なれど、.jpg
ポートフィリップ湾。晴朗なれど波高し
posted by てったくん at 11:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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