2015年05月20日

木で作る、自分で作る

2015年5月20日

この間、日本から来た女性が我が家に遊びにきて、僕と息子の鈴吾郎が作っているボートを見て、「こういうのを作るのが仕事なんですか?」と言った。いろいろなものを作るのが趣味だが、「仕事ですか?」と言われたのは初めてだ。悪い気はしなかった。

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でも、僕にとって木工とかボート作りはあくまで趣味だから、仕事にしたいとは思わない。そもそも僕は職人的な木工が不得意で、 作る物と言えば寸法もきっちり計ってないから、歪んでいたり、隙間があいていたりする。決して売り物なんかにできない。

それでも、この間作った仏壇はなかなか良い感じに仕上がった。姫路のお寺の和尚さんである友人が、オーストラリアで仏壇を作っていると聞いて、高価なお曼荼羅と仏具をわざわざ郵送して下さった。感謝感激である。幸い関税も取られなかったが、オーストラリアの税関の人たちだって、仏具に課税したら罰があたると思ったに違いあるまい。

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僕が作る物は概ね材料は木であるが、高価な材木は使わず(使えない!)、合板やホームセンターで手に入る松材や廃材を使うことが多い。結婚して公団の団地に住んだ時は本当にお金がなくて、家具の殆どは手作りであった。その時のダイニングセットは、女房がアメリカ留学から帰ったときの引っ越し荷物が入っていたクレートで作った。でも、そんなことをするのが、昔から好きなのだ。

そんなで、これまで、ずいぶんいろいろな物を作ったが、ふと思いついて作るだけなので、それほど長持ちしない物も多く、失敗作もある。でも、ただ同然の材料だから、失敗したって 壊れたってどうってことない。

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息子の学校のピザ・オーブンはみんなで作ったが、この扉は僕の作(これも廃材)

僕の現在の趣味は、カヤック/カヌーである。海や湖を漕いでまわる小さな細長い舟だ。今は4隻持っているが、2隻は自分で作った。(現在、息子とモーターボートを作っている)。中でも、最初に作った2人乗りのカヌーには一番愛着がある。でも、一番性能が良いのは値段の張るプラスチック製のシーカヤックである。これはいかにも「プラスチックでこざい」といった風情のもので、木製の優雅さがない。色もデザインも過激だ。でも、海に出るときは命を預ける訳だから、丈夫で安定性が優先する。だからいくら過激でも、買ったもので我慢している。本当は、シーカヤックも木で作りたいのだが、僕の技術ではまだちょっと無理だ。

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自作第一号タンタン丸

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作った二隻と買ったシーカヤック(赤いやつ)

でもカヌーとカヤックのパドルは作ってみた。最初に作ったのは、 カヌー用の「ビーバーテイル」という形のパドルで、これは2人乗りのカヌーを静かな湖などで漕ぐとき使う。それでも昨年は、南オーストラリアで開催されたカヌー200キロのリレーレースに出た時はこの自作パドルで出場したが、ちゃんと完漕できた。自作パドルで出場しているのは僕一人だけだったから、少し鼻が高かった。

昨年もう一本作ったのは「グリーンランドパドル」と言われるシーカヤック用パドルだ。棒みたいなので、スティックパドルとも言われる。これはホームセンターで売っている安いツーバイフォーの松材を使ったので、材料費は1500円くらいしかかかってない。完成品を買ったら2万円以上はするだろう。カーボンなら5、6万する。

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自作パドルと買ったパドル、僕のギター

僕だってカーボン/グラスファイバー製のカヤックパドルを一本持っている。ワーナー社製(アメリカ製)の5万円のパドルだ。800グラムしかなく、羽のように軽い。二年前に買ったが、値段だけあって素晴らしい使い心地だ。海に出て行く時は、主にこれを使ってきた。

ところが、最近、制作費1500円のグリーンランドのお株がぐっと上がっている。グリーランドパドルは細身なので、海で潮風が吹いているときでも風にあおられないので、漕ぎやすい。細いから、漕ぎ始めはなかなかスピードが上がらないが、いったん巡航速度(時速6キロくらい)になってしまうと、 細身ゆえ肩に優しく、長時間漕いでも疲れにくい。一方、カーボン製のワーナーで漕ぐと、ブレードの幅が太いので初速から早いのだが、その分肩の負担が重くて、疲れやすい。それに風があるときは、水の外に出ているブレードが風にあおられて舟がぐらぐらしやすい。まあ、こういうものはすべて一長一短あって、万能のものはない。

そこで、試しに友達にGPSを借りて、手作りパドルとカーボンパドルを湖で漕ぎ較べてみた。すると驚いたことに、1500円の自作木製パドルも5万円のカーボンのパドルも、一周二キロの湖を漕いでまわる速度はほとんど同じなのだった。(ということは、松材でなくて、檜や柳などのもっと良い木材を使って、軽くてしなるパドルを作れば、カーボンより早いかもしれない。やってみよう!)

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これはいつも漕ぎに行く湖の柳の木


とにかく、ハイテク製と木製とどちらが良いかと聞かれたら、木製が好きだ。

もうひとつ、(自分で作った物ではないが…)僕の宝物は、古いヤマハのフォークギターである。昨年東京の実家を処分したので、引っ越し荷物に入れてオーストラリアまで持ってきた。さすがに捨てるに忍びなかった。

中学一年のときに両親に買ってもらったギターだから40年前のオールド・ギターである。当時2万5千円だったことも覚えている。ずっと実家に置き去りにしてあって、手入れもしてなかったから、すごくぼろぼろだった。こっちに持って来てから塗り替えようかと思ったが、試しに家具用の油で磨いてみたら、渋くて良い色になった。塗り替える必要などなかった。ボディに小さな穴も開いていたが、これもパテで埋めてきれいにしてやったら、昔よりはるかに良い音で鳴るようになった。奮発して、エリック・クラプトンも使っているマーチンの弦を張ったら、最高に良くなった。

僕がもう一本持っているギターは、オベーションというアメリカのメーカー製で(韓国製だけど)、ボディの表は木だが、裏と側面はファイバーグラスで出来ている。いわゆるエレアコと呼ばれるギターで、アンプに通して電気ギターとして演奏することもできる。軽くて、しゃかしゃか澄んだ音がするが、古いヤマハみたいな、しっとりと深い良い音はしない。

きっと、プラスチックのギターは1000年たっても同じ音がするのだろう。でも、木製の物は、壊れてもかなりのところまで直すことができる。そこがケチな性分の僕に合っている。それに、直せない程壊れたら、燃やして灰にしてしまえばいい。あるいは、そこらの薮にでも放り投げておけば、いずれ腐って土にかえるだろう。

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これは息子のリンゴロウが8歳くらいのときに作った自動車

それが木製の潔さだろうし、ものの道理であろう。木製のものは、たとえそれが「物」であっても、生き物みたいな手触りと親しさを感じる。鉄製のものもそう悪くないかもしれない。でも、プラスチックやカーボンとなると、そんな親しみは全くなく、使っているうちはまだしも、いったん壊れてしまうと、どれほど愛着のあった道具だったとしても、ただのゴミと化す。それどころか、プラスチックやカーボンは燃やせないし、朽ち果てないから、本当に始末に悪い。









posted by てったくん at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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